島根県津和野町は古い街並みが残っている観光地ですが、過疎化が進んでいるという問題を抱えている街でもあります。
この津和野に高校時代に暮らしていたクライアントは自身の会社の分室を津和野に設立し、雇用をつくり、街に貢献したいということから今回のオフィスの計画に至りました。
オフィスとして選んだ建物は、昔ながらの民家の一部を電気店として一部を改装された建物で老朽化がかなり進んでいました。今回の計画では全面改修ではなく建物の内部にオフィスの箱を挿入し、箱の中で断熱・通風等オフィス環境を整えるよう計画することで建築コストも下げることに繋がるのではないかと考えました。
この建物で特徴的な部分となっているファサードは、電気店だったガラスのショウウインドウの矩形をそのまま残して、その中にステンレスの16面体を挿入しています。
一見すると元の電気店のままの様に見えますがショウウィンドウを覗くと、そこはオフィスは主張せず覗き込んだ人の姿と周りの街の風景が写り込んでいます。
この操作をすることで新しい建物が建つことが少ないこの地域に馴染みやすいオフィスになるのではないかと考えました。またこの写り込む風景は季節・天気などによって様々表情になり時間が経っても風化することなく常に街と密接に関係を保つことができるよう計画しています。